第20回MANGAサミット香港大会のご報告
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- 8月4日
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2025年7月23日(水)~26日(土)の期間に於いて第20回MANGAサミット香港大会が実施され、つつがなく終了致しましたので、御報告申し上げます。
2023年の中国安陽大会以来の2年ぶりとなる開催となり、日本からは14名の参加者に加え事務局から3名、合計17名の日本団として香港大会の現地に足を運びました。また、現地展示会への作品提供は22名の御参加を頂きました。御協力いただきました方々に於きましては、誠にありがとうございました。
大会の様子(7月24日)
日本団は7月23日(水)から香港入りし、翌24日(木)の午前10:00から、香港会議展覧センターに於いて第20回MANGAサミット香港大会の開幕式及び欧州漫画市場フォーラムが行われました。香港委員会代表の黄玉郎 氏による挨拶を経て、開幕式が行われました。
その後はモデレーターの盧家彥 氏による進行で、フランスからはPierre Paquet 氏(Éditions Paquet 創設者)、イタリアからはDavide Castellazzi 氏(Toshokan 編集長)、スペインからは Meritxell Puig 女史(FICOMIC 総責任者)を交えて、欧州に於ける漫画市場の状況が紹介・説明されました。
午後からは、「漫画の新潮流」特別講演が開催され、日本からは倉田よしみ 氏が登壇・発表を行われました。他、韓国からは金童話 氏、中国本土からは孫立軍 氏、台湾からは周文鵬 氏、マレーシアからは饒正漢 氏がそれぞれ舞台に立ち、開催国である香港からは盧子英 氏をモデレーターとして鄺志傑 氏、蘇頌文 氏、曾偉文 氏が鼎談しました。
日本の倉田よしみ 氏は、デジタル化やAIに対して理解を示しつつも「手描き」の魅力と記録性の重要性を説かれました。原画保存が文化と記憶の継承に不可欠として、アーカイブの重要性を訴えました。
第20回MANGAサミット香港大会(7月24日)の様子
大会の様子(7月25日)
翌日午前からも、前日に引き続いて香港会議展覧センターでアジアの漫画家による講演の発表が行われました。盧家彥 氏をモデレーターとして、日本からは三浦みつる 氏が登壇・発表を行われました。他、香港から温紹倫 氏、韓国からは申一淑 氏、中国からは李劍平 氏、台湾からは黄俊維 氏が登壇されました。
三浦みつる氏 は、近年のコミックをめぐる市場推移を説明され、電子書籍の加速的な普及について語られました。また、横手市まんが美術館が取り組んでいるマンガ保存のアーカイブ事業を例に出して、日本がどのようにアーカイブ事業に取り組んでいるか説明されました。各国代表のシェアセッション終了後には、黄玉郎 氏による音頭で閉幕式が始まり、各国による共同宣言が行われました。その後には、香港から2027年開催予定国の台湾に大会旗が渡され、無事に閉幕となりました。 続いて、同会場で同時開催されている大型ポップカルチャーイベント「ACGHK 2025(香港動漫電玩節)」の会場へと移動し、会場内に設けられた「MANGAサミット作品展」の開幕式が行われました。各国から寄せられた原画や作品パネルが一堂に展示され、一般来場者との交流も図られました。展示を通じて、各国の漫画文化の多様性と創造性が広く紹介される貴重な機会となりました。
第20回MANGAサミット香港大会(7月25日)の様子

「MANGAサミット作品展」記念撮影
文化探訪に関して
7月25日(金)の午後には、西九龍文化区に位置する「M+博物館」を訪れ、現代視覚文化に関する展示を見学しました。M+はアジアを中心とした現代アート、デザイン、映像文化を紹介する大規模な国際博物館であり、漫画やアニメーションと親和性のある展示も多く、創作に携わる立場から見ても多くの刺激を得ることができました。
7月26日(土)の午後には尖沙咀の「漫畫星光大道(Avenue of Comic Stars)」を訪問いたしました。同地には香港を代表する漫画キャラクターの立像が設置されており、それぞれの作品世界が散策の中で楽しめる造りとなっております。香港漫画界の歴史や作家の功績を讃える場所として整備されており、参加者一同、現地の漫画文化の広がりと深さに触れる有意義な時間となりました。
文化探訪を通じて、香港における多様な文化の受容と発信の姿勢を直に感じることができ、今後の国際的な交流や創作活動への示唆を得る貴重な機会となりました。
第20回MANGAサミット香港大会は、アジアおよび欧州の漫画家や関係者が一堂に会し、漫画文化の未来や国際交流の在り方を多角的に議論する貴重な場となりました。今回、日本からは作家・関係者・事務局を含めた17名の代表団が参加し、講演や展示、文化交流を通じて、国内外の漫画に関わる現場との絆を一層深めることができました。
各国の代表者による講演では、デジタル化の進展やアーカイブの必要性、漫画市場の国際的な動向など、今日の業界が直面する課題と未来への展望が共有されました。特に日本から登壇された倉田よしみ氏、三浦みつる氏の発表は、手描き文化の価値や地域に根差した保存活動への取り組みといった日本独自の視点から、国際的な理解を深めるものとなりました。
また、「MANGAサミット作品展」や文化探訪を通じて、香港における漫画文化の多様性と、それを支える社会の姿勢に触れることができ、国を越えた表現文化の可能性を再認識する機会ともなりました。
このような国際的な場における対話と交流は、今後の創作活動や業界発展に向けた大きな糧となります。今回の経験を活かし、引き続き日本と世界の漫画文化の架け橋となるべく、関係者一同、努力を重ねてまいります。
最後に、大会運営にご尽力いただいた香港主催者の皆様をはじめ、参加者・関係者の皆様に心より御礼申し上げます。













































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